Q&A

金型を支給して海外で作らせた製品を輸入する際の関税評価について
海外から製品を輸入するために現地製品メーカーに当ったところ、金型の支給を求められ、現地の金型メーカーに発注して日本から送金し、できた金型を直接現地製品メーカーに支給しました。この場合、製品を日本へ輸入する際の金型代を含む関税評価の方法を具体的に教えて下さい。また、現地製品メーカーへの有償技術指導料は、輸入関税の評価上どうなりますか。
金型については、日本から代金を送り、海外で製作させて現地製品メーカーに提供していますから、関税定率法第4条第1項第三号に規定されている無償提供された「当該輸入貨物の生産のために使用された工具、鋳型またはこれに類するもの」に該当し、輸入貨物の課税標準となる価格(課税価格)に加算される要素となります。従って、製品を輸入する際に金型代の評価申告が必要となります。
加算する方法としては、製品の第1回目の輸入の際に一括加算する方法と、製品の輸入の都度に按分して加算する方法がありますが、按分加算方法が原則です。
また、有償提供した技術指導料は、一般的にはインボイス価格に含まれて製品代金として売り手から請求されることから、技術指導料を含めた価格が取引価格であり、これが課税価格となります。
なお、当該技術を無償提供した場合は、本邦開発技術の役務は課税価格に算入しない取り扱いとなっています。具体的な評価申告の方法は、各税関の特別価格審査部門へ問い合わせて下さい。
輸入申告価格となる子会社との取引価格の妥当性を税関から証明するように指示を受けた場合の対処法
米国の子会社から継続して機械部品を輸入していますが、税関から輸入申告価格となる子会社との取引価格が正しい価格である場合はその証明を、値引きした価格である場合は評価申告を行うよう指示を受けました。この場合どう対処したら良いでしょうか。
もし米国子会社から輸入申告価格が値引きされていない価格である場合には、親子関係という特殊関係にあることが取引価格、すなわち、税関への申告価格にいかなる影響も与えていないことを証明する必要があります。関税定率法施行令第1条の6による規定、すなわち、「輸入貨物の取引価格が特殊関係により影響を受けていないことの証明をする場合における価格差の調整およびその証明の手続」に従い、例えば、米国の子会社が発行した原価計算書を税関に提出して、親子関係が取引価格にいかなる影響も与えていないことを証明することです。また、当該子会社が、本邦における他の会社との間で同一製品の輸出取引をしている場合には、その販売価格を税関に提示して、その価格と自社との取引価格を比較することで、影響が与えられていないことを証明する方法もあります。

特殊関係には限りませんが、課税標準となる価格(課税価格)の決定に関しては、関税定率法第4条(課税価格決定の原則)で規定されており、例えば、子会社に対して、無償あるいは値引きをして当該輸入製品に組み込まれる原材料を支給している場合、工具、鋳型などやその他の消耗品などの提供がある場合、および、技術指導、設計図面や役務の提供などをしている場合には、それらの代金や費用等が輸入取引価格、すなわち、税関への申告価格に含まれている旨、税関へ評価申告を行なわなければなりません。この評価申告には、輸入する毎に個別評価申告をする方法と、継続的に同一製品を同条件で輸入する場合には、期間(最長2ヵ年)を限定して包括評価申告をする方法があり、包括評価申告をしておけば、その限定期間内においては輸入毎に評価申告をする必要はありません。
ワシントン条約について
製品を輸入しようと思うのですが、友人がワシントン条約に気をつけるようにとアドバイスをしてくれました。どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
ワシントン条約とは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保護を目的とした国際取引に関する条約で、保護すべき動植物を附属書I、II、およびIIIの3つに区分し、その輸出入を規制しています。輸出入を行おうとしている動植物がどのカテゴリーに入るかによって、規制の内容が異なります。附属書Iが最も厳しいものとなっています。

この条約では、ペットや鑑賞用の生きている動植物はもちろんのこと、はく製、これらを使用して作られたコート等衣類、ハンドバッグ、ベルト、靴、細工品、漢方薬も規制対象となっています。このため、輸入しようとする製品がワシントン条約に掲げられている種であるかどうかを事前に調べる必要があります。

ワシントン条約で規制されている物品を輸入する場合、条約で定められた輸出国の政府機関の発給する輸出許可書や、経済産業省が発給した輸入承認証等が必要です。

規制対象物品の輸入申告の際には、これらの書類を税関に提出して、その確認を受けなければなりません。

また、ワシントン条約該当物品については、通関手続のできる税関官署が限定されておりますので、税関にお問い合わせ下さい。

ワシントン条約の詳細については経済産業省にお問い合わせ下さい。